最高裁判所第一小法廷 昭和45年(オ)1013号 判決 1976年2月26日
主文
理由
上告代理人河合伸一の上告理由冒頭及び一ないし四について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができないものではなく、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用することができない。
同五について
商法五〇四条但書は、代理人の行為が本人にとつて商行為となる場合において適用されるものと解されるところ、本件定期預金が本人たる被上告人にとつて商行為となることは原審の確定しないところであるから、右の点を前提として原審の右規定の解釈の誤りを主張する所論は、その前提を欠き失当である。所論引用の判例は、代理人の行為が本人にとつて商行為となる事案に関するものであり、本件に適切でない。論旨は、採用することができない。
(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 藤林益三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫 裁判官 団藤重光)